建築マネジメント塾 受講生インタビュー 2024年3月15日実施
圧倒的な情報量で新しい視座と確信を得られた
卒業後は「街づくり」の志を生かす起業へ
アトリエ・ハッチ合同会社 代表社員CEO
株式会社Turn On Lab. 代表取締役
初谷 賢一さん
業界を俯瞰する視座から次の目標が生まれ、新会社を設立

2023年春期に第1期生として受講しました。この塾の魅力の1つは、建設業界とマネジメントに関する圧倒的な量の情報に触れられることです。まず発注者の意図を理解する重要性が説かれ、それを実現するためのサプライチェーンのほか、バリューチェーンの考え方もここで学びました。今までふわっと捉えていた感覚が言葉に置き換わって、まるで頭の中の霧が晴れていくようでした。
授業から持ち帰る解釈は受講生によって違うかもしれません。川原さんからの情報が100あるとすると、自分は「1、13、45、68の知識がヒントになりそうだ」と捉え、隣の人は「9、25、87が有意義だった」と捉える。それでも他の情報が無駄になるわけではなく「もともと68に興味があったけれど、なんだ66、67も面白いな」と新たな視座が得られます。
授業を聞きながら私は「建設でも収益性と公益性のバランスをもっとうまく取れるのではないか」と考え、建築マネジメントという仕事を一層究めたくなりました。卒業後、持っていた建設会社をバイアウトし、2024年春にTurn On Lab.という新会社を立ち上げたのもこのためです。人・地域・行政をつなぐ街づくりコンサルを通して、一人一人の生きがいを創るPRE事業を展開する予定です。
高校時代の「街づくり」体験が原動力に
私は高校時代に、日本最古の学校といわれる「足利学校」を再建するプロジェクトに参加したことがあります。学校再建によって中心市街地に新たな人の賑わいが生まれ、地域が活性化されるのを目の当たりにして、将来こんな仕事ができたらいいなと思っていました。
大学卒業後には大手設計会社に就職、その後はデベロッパーや事業会社へ転職したのも高校時代の志があったからかもしれません。ただ、多くのCRE事業に参画してきたものの企業の不動産事業となるとさまざまな利害があり、本来自分がやりたい仕事から離れている気がしたのも事実です。
そこでサラリーマンを辞め、アトリエ・ハッチという設計会社と、もう1つ別の建設会社を立ち上げて自分なりの不動産事業を始めました。起業後2年間で50件ほど扱ったのですが業界の将来には不安があり、新しいヒントを得たい、もっと社会動向を知りたいと思って入ったのがこの塾です。
建設業界の課題について、考える材料を示してくれる
デベロッパーや事業会社にいたときは発注者側に立ってプロジェクトを進めました。しかし設計/施工/生産などの縦割り構造に阻まれて、各工程の情報が途絶してしまうのは大きな不満でした。
また、起業後に設計・施工側から建設プロジェクトを見ると、実施設計と生産設計では同じようなプロセスを踏んで工程を長引かせています。これらを一気通貫でマネジメントして一緒に行ってしまえば効率化が図れるのではないか、そう思ってプロジェクト上流から手順を圧縮する工夫もしてみました。
どちらの課題に対しても連携の重要性とヒントを示してくれたのが川原さんの授業です。受講しながら考えを深められ、事業再編という新たな一歩を後押ししてくれました。

利害関係のない貴重なつながりと、学びやすさ
塾では利害関係のない方々と知り合えるのも特長です。ここには「建設業界でこれがしたい、あれができるのでは」と積極的に考える人たちが集まっています。それぞれの専門で尖ったスキルや知識があり、知り合った者同士で気が合えばビジネスにもつながります。実際私も、同期の一人と新しいビジネスを始めようと相談しているところです。
授業で使うレジュメもとても丁寧で、使われたスライドをそのままもらえるため授業では話に集中できます。お客様の本当のニーズはどこにあるのか、建設プロジェクトをどう進めればよいのか、領域を超えて人をつなぐ大切さがよく分かる内容です。年齢や分野にかかわらず、建設に関わる全ての方がこの知識を得られたら業界の風通しがもっと良くなるのではと感じました。